「甘やかすとわがままになる」は本当?
抱っこ育児の科学的根拠
赤ちゃんが生まれると、多くの親が必ずと言っていいほど耳にする言葉があります。
「抱っこばかりしていると、子どもが甘えん坊になるよ」
「泣くたびに応えていたら、わがままになるよ」
この“甘やかし理論”聞いたことありますか??
でも・・・
赤ちゃんの「欲しい」と「必要」は同じ
生まれてすぐの赤ちゃんにとって、欲しいもの=必要なもの。
お腹がすいたから泣く、寂しいから泣く、抱っこしてほしいから泣く。
どれも「生きていくために必要なサイン」
生きていくために必要なものを与えるのは甘やかしではないです☺︎
そもそもこの甘やかし論は20世紀初頭に育児“専門家”たちによって「泣いた時に抱き上げると、それが報酬となり、もっと泣くようになる」という考えの元広まりました。一見聞くと、「確かにそうなりそう?」と科学的に根拠のありそうな内容でした。
でも人間の行動はもっと複雑です。
確かに、新生児を長時間抱いていると、ベッドに下ろした時に抗議することはあります。赤ちゃんは「心地よさ」を学び、その感覚を取り戻すために知らせてくれます。しかし長い目で見れば、この「心地よさ」を知っている赤ちゃんは、注意を引くために泣くことが少なくなります。大半の時間で心地よく過ごし、親の応答性によって自分のニーズを認識する方法を学びます。
「子どもが甘やかされる」のは、棚に置かれ、放っておかれ、忘れられた時――まるで食べ物が「腐る(spoil)」ようにしてです。甘やかし理論には科学的根拠はなく、根拠ない、「子供たちが大人をコントロールしようとしているから大人が先にコントロールしなくては!」という恐れのようなものに感じます。
きちんと赤ちゃんや子供に「はい、どうしたの?」とニーズに応えてあげることで、“自分は大丈夫、安心していいんだ”という親との信頼感を育てます。
この安心感こそが、将来自立していくための土台です✨
「甘やかす」と「応える」は違う
“Attachment Parenting(愛着育児)”という考え方では、
「すべてを叶える」ことと「必要に応える」ことをしっかり区別します。
過剰育児(ヘリコプターペアレント)
▶︎子どもを過剰に甘やかしたり、不適切な依存を生む。常に子どもの周囲で大騒ぎし、恐れや不安からすべてを代わりにやってしまう親のこと。この場合、やるべきことを妨げられてしまうから子どもは過剰に依存的になることがあります。
愛着育児
▶︎ 子供のニーズにしっかりと応え、必要な信頼関係を築いている。子どもが少し苦労したり、挫折を経験したりするのが成長に必要だと理解し、サポートしながら経験させてあげる。
だからこそ私たちは、育児スタイルにおいてバランスを取ることを強調し続けています。アタッチメントと依存は違うものです。アタッチメントは発達を促進し、過度の依存は発達を妨げます。
愛着抱っこ育児(TM)では子供はたくさん抱いてあげれば、しっかりと自立すると信じています。
- 子どもの欲求に100%応える → 甘やかし
- 子どもの本当の必要に応える → 安心と信頼を育てる
応えるべき時は「はい」、成長のために必要な時は「いいえ」と伝える。
このバランスこそが、健やかな子育てにつながります。
科学的にはどっち?
ジョン・ホプキンス大学のベル博士とエインズワース博士は、2つの親子グループを研究し、「甘やかし理論」を打ち砕きました。
- Aグループの赤ちゃんたちは、親がよく応えてくれる環境の中で、安心感を土台に育ちました。その結果、人に依存しすぎるどころか、自ら探索したり挑戦したりする姿勢が強くなりました。
- Bグループの赤ちゃんたちは、親の反応が少なく制限的だったため、安心感を得にくく、不安定な関わり方を示すことが多くなりました。
つまり、「たっぷり応えてもらった子ほど、自立する」。これが数十年にわたるアタッチメント研究の共通した結論です。