母乳は虫歯の原因ではない!
科学で証明された母乳育児の虫歯予防効果
「母乳は甘いから虫歯になる」と思われがちですが、母乳そのものが直接的に虫歯の原因になることはほとんどありません。
むしろ母乳育児は、赤ちゃんの口腔発達や免疫機能をサポートする役割があります。
ハーバード大学小児医院の教授、Dr.Searsも
「虫歯のない子に育てるコツは母乳育児だ」
と述べています。
母乳育児の吸啜動作が歯並びと顎を育てる
母乳を吸うとき、赤ちゃんは独特の吸啜(きゅうてつ)運動を行います。
この動きは口の中の筋肉をバランスよく使い、顎や歯並びの発達を助けます。
小児歯科の研究でも、母乳育児を行った赤ちゃんは不正咬合になりにくいことが報告されています。
母乳に含まれるロイテリ菌と虫歯予防
ロイテリ菌とは?
母乳には「ロイテリ菌(Lactobacillus reuteri)」と呼ばれる善玉菌が含まれています。
この菌は虫歯菌である「ミュータンス菌」の増殖を抑える効果があることが研究で示されています。
科学的研究でわかった虫歯菌抑制効果
- 2013年に発表されたランダム化比較試験では、ロイテリ菌を摂取した乳児の唾液中のミュータンス菌が減少したことが報告されています(Cagetti et al. 2013)。
- 2012年の研究でも、中等度から重度の歯周病患者にロイテリ菌を摂取させることで、歯肉炎や歯垢が減少したことが確認されています(Vivekananda et al. 2010)。
これらの結果から、母乳に含まれる善玉菌は赤ちゃんの口腔内環境を整えるのに役立つことが分かります。
母乳育児で虫歯を防ぐためのポイント
正しい授乳姿勢(スリング授乳もおすすめ)
母乳育児を行う際は、赤ちゃんの姿勢が大切です。
特にスリングを使った授乳は、赤ちゃんをママの胸にしっかり密着させつつ、自然なM字開脚を保つことができます。
ポイントは以下の通りです:
- 赤ちゃんのあごがしっかり胸に密着している
- 膝裏や太ももに生地が均等に広がっている
- 足や体の色、温かさを確認して血流が滞っていないかチェック
正しい姿勢で授乳すると、吸啜運動の効果が最大限に発揮されます。
離乳食とのバランス
離乳食が始まると甘い食品やおやつによって虫歯リスクが上がる場合があります。
母乳育児と合わせて、適切な食事管理と歯磨きを習慣化することが大切です。
虫歯リスクを減らす授乳生活の工夫
- スリング授乳で赤ちゃんが満足するまで授乳する
- 赤ちゃんの口の中の健康を日々観察する
- ガーゼや歯ブラシを使った日常ケアを習慣化する
こうしたちょっとした工夫で、虫歯リスクを最小限に抑えることができます。
まとめ:母乳育児は虫歯予防にも効果的
- 母乳育児は、赤ちゃんの口腔発達と歯並びをサポートする
- ロイテリ菌などの善玉菌が虫歯菌を抑える
- 正しい授乳姿勢や口腔ケアで、さらに安心
「1歳過ぎたら母乳は虫歯の原因」という迷信にとらわれず、母乳の力を最大限に活かして、赤ちゃんの笑顔と歯の健康を守りましょう。