抱っこで育つ「自分らしさ」
〜愛着が子どもの個性化を育てる科学的理由〜
抱っこしすぎると“甘えん坊”になる?実は、逆なんです。
「抱っこしすぎると、甘えた子になる」
そう言われたこと、ありませんか?
でも実は心理学的にも神経科学的にも、
たくさん抱かれた子どもほど“自分らしく生きられる”ことが証明されています。
この「自分らしく生きる力」は、発達心理学では Individualization(個性化) と呼ばれるもの。
今回は、抱っこや愛着がどのように子どもの“個性化”を支え、自立の土台をつくっていくのかを科学的に解説します。
1. 「個性化(Individualization)」とは?

発達心理学でいう「個性化」とは、
子どもが親から心理的に自立し、
「自分はこう思う」「こうしたい」と
自分の考えや選択を大切にするようになるプロセスのこと。
たとえば…
- 「自分でやりたい!」という幼児期の自己主張
- 思春期に親と違う価値観を持ち始める
- 自分の好き・嫌いを言葉にできるようになる
これらはすべて、個性化の一部です。
つまり、個性化とは「親から離れること」ではなく、
“安心して自分を出せるようになること”。
2. 抱っこで育つ「安心の土台」

では、なぜ抱っこが個性化を助けるのでしょうか?
答えは、「安心感の形成」にあります。
抱っこでたっぷり触れ合うと、
子どもの脳内では“愛情ホルモン”と呼ばれるオキシトシンが分泌されます。
オキシトシンは、ストレスホルモンであるコルチゾールを下げ、
心を落ち着かせるだけでなく、「自分は愛されている」という基本的信頼感を育みます。
この安心感こそが、
「自分でやってみよう」
「ママから離れても大丈夫」
という挑戦の原動力になります。
3. 愛着が“自立の力”に変わる理由

心理学者メアリー・エインズワースの「愛着理論」でも知られているように、
“安定した愛着”は、安心して離れる力を育てることがわかっています。
抱っこでしっかり愛着を築いた子は、
ママが自分の安全基地にいることを知っています。
だからこそ、離れても不安にならず、
自分の世界を自由に探索できるんです。
反対に、愛着が不安定な場合は
「ママがいなくなったらどうしよう」と不安が強くなり、
本来の“自分らしさ”を表現しづらくなります。
4. 「抱っこしすぎ=依存」は誤解
多くのママが気にするのがこの言葉。
「抱っこしすぎると、いつまでもベッタリになるのでは?」
実際には真逆。
抱っこでしっかり甘えた子ほど、
やがて自然と自立していきます。
これは「依存」ではなく「信頼の貯金」。
安心して甘えた分だけ、
“自分は愛されている”という確信をもとに
外の世界へ踏み出せるのです。
5. 抱っこが育てる“自分らしさ”の根っこ

「泣いても抱っこしてもらえた」
「怒っても拒絶されなかった」
そんな経験は、子どもに
「どんな自分でも大丈夫」という感覚を与えます。
これはまさに、自己肯定感の始まりであり、
のちに「個性化=自分らしく生きる力」へとつながります。
まとめ
抱っこは「甘やかす」ことではありません。
それは、子どもが自分らしく羽ばたくための“安心の基地”をつくる行為。
抱っこで育つ安心感が、
「わたしはわたしでいていい」
という自分らしさの根っこになる。
今日の抱っこが、
明日の自立につながっています。