【Pikimamaブログ】母親がこんなに苦しいのはなぜ? ― 罪悪感を生み出す「理想の母親神話」 ―

【Pikimamaブログ】母親がこんなに苦しいのはなぜ? ― 罪悪感を生み出す「理想の母親神話」 ―

|投稿者:ピキママの育児

母親がこんなに苦しいのはなぜ?

罪悪感を生み出す「理想の母親神話」


今日は、多くのママが心のどこかで抱えている「罪悪感」についてお話ししたいと思います。

育児には、正解がありません。

母乳かミルクか。
自然分娩か無痛分娩か。
保育園か自宅保育か。
離乳食は手作りか市販品か。
添い寝かネントレか。

どちらを選んでも、
賛成する人もいれば反対する人もいます。

そして時には、選ばなかった方を理由に責められることさえあります。

こうした母親同士の批判は「マムシェイミング」と呼ばれています。

さらに、「あなたが間違っている」「その考え方がおかしい」と相手の感じ方や現実認識を揺さぶるような行為は「ガスライティング」と呼ばれます。

育児の世界では、この二つが決して珍しいことではありません。

「母乳じゃないなんてかわいそう。」
「保育園に預けるなんて。」
「無痛分娩なんて楽をしている。」

その一方で、

「母乳にこだわりすぎ。」
「専業主婦なんて時代遅れ。」
「仕事を辞めるなんてもったいない。」

どちらを選んでも、
誰かから評価される。

だから母親は、
「これでよかったのかな。」
という不安を抱えながら毎日を過ごしています。


SNSと「社会的比較」が加速させるプレッシャー

アンド今は、SNSがあります。

スマホを開けば、
おしゃれなママ。
丁寧な暮らし。
栄養満点の手作りご飯。
片付いた部屋。
仕事も育児も楽しそうに両立している人たち。

私たちは毎日、無意識のうちに「理想のお母さん」を見せられています。

人間には、自分と周囲を比べながら自分の立ち位置を確認する「社会的比較」という性質があります。

本来これは、集団で生きる人間に必要な能力でした。

でもSNSでは、比較する相手が何万人にもなります。

しかも目に入るのは、その人の日常ではなく「人生のハイライト」。

だから脳は、毎日何百人もの「理想の母親」と自分を比べてしまいます。

苦しくなるのは、ある意味とても自然な反応なのです。

さらに育児では、自分だけではありません。

子どもの成長まで比較の対象になります。

「あの子はもうオムツが外れた。」
「あの子は勉強ができる。」
「あの子は聞き分けがいい。」

気づけば、
子どもの成長が、自分の評価のように感じられてしまいます。


時代が作った「高すぎる理想像」

でもここで、一度立ち止まって考えてみてほしいことがあります。

私たちは本当に、生まれつき「母親だから罪悪感を感じる」のでしょうか。

実は、そうとは限りません。

心理学では、罪悪感は「現実の自分」と「理想の自分」との差が大きいほど生まれやすい感情だと考えられています。

つまり、理想が高くなればなるほど、罪悪感も強くなります。

では、その理想は誰が作ったのでしょう。

実は、「良い母親」の定義は時代によって大きく変わってきました。

昔は大家族で子育てをするのが当たり前だった時代もありました。

母親だけで子育てを背負うことは、今ほど一般的ではありませんでした。

ところが現代では、

仕事も頑張る。

育児も楽しむ。

家事もきちんとこなす。

夫婦関係も良好。

子どもの教育にも熱心。

健康で、美しく、自分磨きも忘れない。

そんな、一人では到底こなせない理想像が「普通」であるかのように並んでいます。

つまり私たちが苦しんでいるのは、母親だからではありません。

「理想が増え続ける時代」に生きているからなのです。


見えないプレッシャーと偏る負担

しかも現実には、その負担は決して平等ではありません。

日本では共働き世帯が増えていますが、家事や育児の負担は今も女性に偏っています。

総務省の調査では、子どものいる共働き家庭で、妻の家事関連時間は夫の約6.5倍という結果も報告されています。

さらに海外では、実際の家事量だけではなく、「十分にできていない」という罪悪感そのものが、女性の心や体の健康に影響することも報告されています。

つまり、多くのお母さんを苦しめているのは、終わりのない家事や育児だけではありません。

「もっとできるはず。」

「もっと頑張るべき。」

そんな見えないプレッシャーなのです。


罪悪感は、子どもを大切に思っている証拠

でも私は、一つだけ伝えたいことがあります。

罪悪感を感じているということは、あなたが子どもを大切に思っている証拠でもあります。

本当に無関心な人は、「これでよかったのかな。」なんて悩みません。

だから、あなたが苦しいのは、愛情が足りないからではありません。

むしろ、愛情があるからこそ苦しいのです。

ただ、その愛情が「自分を責める方向」に向いてしまっていることが問題なのです。

だから育児で苦しくなったときは、一度だけ自分に問いかけてみてください。

「この罪悪感は、本当に私の価値観なの?」

「それとも、誰かが作った理想の母親像なの?」


子どもに必要なのは「完璧」ではなく「安心」

アンド、もう一つ思い出してほしいことがあります。

愛着研究では、子どもに本当に必要なのは「完璧な母親」ではないと考えられています。

イギリスの小児科医・精神分析家ドナルド・ウィニコットは、「ほどよい母親(Good Enough Mother)」という考え方を提唱しました。

子どもに必要なのは、100点満点のお母さんではありません。

失敗しても、
また戻ってきてくれる人。

イライラしてしまっても、
あとから「ごめんね」と抱きしめてくれる人。

安心して甘えられる存在です。

ピキママでいつもお伝えしているように、

子どもの脳を育てるのは、
完璧さではありません。

安心です。

だから、

疲れたら休んでいい。

頼れる人がいるなら頼っていい。

冷凍食品の日があってもいい。

部屋が散らかっている日があってもいい。

保育園でも、自宅保育でもいい。

自然分娩でも、無痛分娩でもいい。

母乳でも、ミルクでもいい。

本当に大切なのは、
誰かの正解を生きることではなく、

あなたと、
あなたの家族に合った正解を見つけることです。


「理想の母親神話」から離れて、あなたらしい育児を

だから私は、「もっと頑張ってください」とは言いません。

むしろ、

「もう十分頑張っています。」

と伝えたい。

子どもは、親の完璧さを受け継ぐのではありません。

親の安心を受け継ぎます。

親が「失敗しても大丈夫」と思える家庭では、子どもも「失敗しても大丈夫」と感じられるようになります。

親が自分を大切にできる家庭では、子どもも自分を大切にすることを学びます。

だから今日、もし罪悪感で胸が苦しくなったら思い出してください。

あなたが戦っている相手は、子どもでも、育児でもありません。

終わりなく更新され続ける「理想の母親神話」です。

その神話から少し距離を置いたとき、初めて「あなたらしい育児」が始まります。

アンド私は、その「あなたらしい育児」を、これからも科学とともに応援していきたいと思っています。


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